かつてクレジットカード決済の代名詞だった行動がなくなろうとしている。
レストランなどでの支払いをクレジットカードで行った際、自席でサインする形で決済したことがある人は多いだろう。このサイン決済が、今年3月をもって原則終了するというのだ。
わざわざ席から離れて暗証番号などを入力しなくてもいいため、便利な手段として用いられてきたサイン決済。本来であれば暗証番号の入力が必要なところ、番号を忘れた場合などに備えて一時的な救済手段として用意されていた「暗証番号スキップ(PINバイパス)」の仕組みを活用して行われていた。
あくまで番号を忘れた救済手段として用意されていた「暗証番号スキップ」が、日本ではレストランなどでのサイン決済に幅広く用いられていた、というわけだ。
暗証番号スキップには、レストランなど店舗向けの救済という側面もあった。
日本では、カードに金属製の「ICチップ」を搭載し、セキュリティー面で磁気型に優るICカードへの対応が欧米に比べて遅れていた。だが、2020年の東京五輪開催に向けて、急ピッチでICカードへの対応が進んだ。その中で、店舗にもICカードへの対応義務づけが行われ、決済端末の切り替えなどが求められた。
では、レストランなどでうっかり暗証番号を忘れてしまった場合、救済策はあるのだろうか。答えは残念ながら、「決済することができない」ということになる。
ICカードにおける暗証番号スキップの機能そのものが廃止されることから、暗証番号がわからない場合でもサイン決済することはできない。
注意したいのが、不正利用時の補償だ。サイン決済が主流だった際には、簡単にサイン偽造が可能だったため、裏側の署名欄が不記載だったといった過失のケースを除き、基本的に補償の範囲内とされていた。
しかし、故意や過失により暗証番号が知られた場合、不正利用の補償対象にならないことが大半だ。そのため、暗証番号を裏面にメモするといった行動で暗証番号が流出してしまえば、不正利用の補償を受けられないことが想定される。暗証番号を第三者が見られる場所にメモするのは厳禁だ。
とはいえ、すべてのクレジットカード決済で暗証番号が求められるというわけではない。昨今普及しつつある「タッチ決済」などでは、本人認証なしに決済することが可能だ。店舗やブランドにもよるが、おおむね1万5000円未満の決済では暗証番号の入力など不要で決済することができる。
逆にいえば、1万5000円を超える決済の場合、必ず暗証番号など本人認証が求められることになる。自身の暗証番号に不安がある人は今のうちに確認しておきたい。